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第35回館山若潮マラソン
- 2015-1-28[水曜日] コメント(6)
1月24日午前10時15分、出発。navigationによると所要時間は6時間くらいで、目的地到着は4時半頃になるらしい。最近延伸された東部道路を通ってみようと、南部道路の山田ICからhighwayに。天候晴れ。気温3~10℃。県境に近づくにつれ交通量が減り、ついには独占状態。福島県に入り、新地、相馬を過ぎて、浪江町へ。ここで一旦一般道路へ。常磐道はまだ全線開通していない。6号線を南下。交差点ごとに白いマスクをした人が立っていて、脇道へ入るのを制限しているようだ。この区間では停まったり窓を開けたりしてはいけないという報道が確かあったなと思い出す。でも、それじゃあの白いマスクをして立っている人たちは大丈夫なのか?と疑問が湧く。一軒だけコンビニが開いていて、10数台車が止まっていた。丁度昼時で弁当を買って出てくる人がいた。6号線から民家に入る道にはバリケードが設置されて、立ち入り禁止。田んぼや畑にはススキなどの植物が茶色になったまま放置されており、荒涼感と無力感を漂わせていた。ナンバープレートを外され庭先に放置されている車が何台もあり、もう運転されることもないのだろう。TVで何度も映された風景なのだろうが、実際に見るとただただ悲しさだけが込み上げてきた。
常磐富岡ICから再度常磐自動車道へ。茨城県との県境に近い四倉PAで昼飯。セルフサービス店で生姜焼き定食。常磐道を南下してつくばJCTで首都圏中央連絡道へ入り、利根川を越えたところが終点(神崎)。navigationに従って一般道走行。東関東自動車道の成田ICからまたまたhighwayへ。宮野木JCTから京葉道に入り、この道路がそのまま館山自動車道と名称が変わるらしい。木更津北ICで降りた。
ホテルに着いたのが5時半頃。所要時間7時間。晩飯を食べようと外へ出たのが6時過ぎ。木更津駅が近くにあり、駅前には飲み屋くらいあるだろうと行ってみたが、見当たらず。商店街にも人影がない。いわゆるシャッター街らしい。駅から離れて行くと道路を挟んだ反対側に、やっと赤い提灯を発見。函館の文字が入っている。車が来ないのを見計らって4車線の道を横切った。店の前に行くと好みではないビールの看板が出ていたので入るのをやめた。他の店が見つからなければ戻ろうと思い、また道の反対側へ渡った。そこから今度は一本裏の通りへ。「とり」の文字が入った木製の看板が見えた。焼き鳥もいいなと思った。入口のガラス戸から中の様子が見えて、カウンターに二人座っているのが分かり、思い切って入ってみた。初めての街でしかも裏の通りにある店に飛び込むという感覚。なかなかスリルがあっていい。入ってみると店のなかは明るく、座敷もあって団体も入っている様子。子供の姿もあった。まずはひと安心。カウンターのお客はそれぞれ両端に一人ずつ座っており、その中間に私が座るという形になった。しかもその二人は知り合いのようで、離れて座りながらも会話していた。私の頭の上や顔の前、背中を越して、彼らの言葉が飛び交った。その都度、私は頭を下げたり体を後ろに倒したり前へ屈んだりせねばならず、こりゃ大変なことになったぞと思った。
二人とも独身らしく、お見合いパーティーの話題で盛り上がっていた。こりゃもっと大変なことになったぞと思った。こっちには振られたくないテーマだなぁと警戒していると、間もなく「ね、お客さん、どう思います」と、とうとうスッカケられてしまった。
「たぶんのその年代の女性たちは、バブルの時にいい思いをしているので、それが忘れられずにいるのでしょう。理想が高いんだと思いますよ」などと、どこかで聞いたことのあるような解説をしてしまった。
こうして結局、私も会話のなかに引き込まれてしまった。向こうは常連、こっちは一見。当然、どこから来たの?と質問され、
「仙台からです」
「えっ?仙台から!?」
「はい、それも車で」
「えっ、車で?」と呆れられた後、
「実はオレのお袋も仙台なの。仙台の二十人町で、高校が育英。知ってるでしょ、育英」
「はい、もちろん知ってます」でも、育英が共学になったのは確か20年くらい前で、この男性客の母親が高校生だったのはたぶん50年か60年前のはず。かつては男子校だったあの高校はその頃共学だったのか? 確認するすべもなく、ただ「へー、そうなんですか」と答えるしかなかった。
そして、彼は「オレの祖母さんは、秋保の生まれなの」と更に家系を遡った。
「えっ?私のお袋も秋保の生まれです」と今度はこっちが驚く番だった。
こうなれば、俄然話が盛り上がる。自分の徳利を持って相手のお猪口へ酒を注いだ。が、こっちは熱燗で向こうは冷酒のため、熱いのと冷たいのが混ざってしまい、その後は注ぐのをやめた。
彼の結婚にまつわる話も、数奇なものだった。実は学生の時に子供が生まれたのだという。「じゃ、学生結婚ですか?」と訊くと、「いや、結婚する前に生まれた」と云う。自分たちにはまた子供ができるだろうからと、その子は相手の女性の妹へ養子として預けられたのだと云う。妹という人にはどうも子供ができなかったらしい。
「じゃ、その後結婚されたのですね?」と訊くと、「いや、結婚する前にその女性は死んじゃったんだよ」と実にあっけらかんとしている。それ以来、誰とも一緒にならず、これまで独り身できたのだと云う。しかし、結婚願望はあるので、お見合いをしたり婚活パーティに出たりしているのだと。
「それで今、息子が会社を辞めて、オレんとこへ居候してるの。嫁さんもいるんだよ」
あれ? どういうこと? 養子に行った先は青森だったが、養親が亡くなったのでこっちに来たということらしい。実の親が自分であることを息子が高校生の時に明かしたと云う。居候とは言え、長い間離れていた実の息子と今は一緒にいられることが満更でもなさそうな表情で彼は説明してくれた。
8時半近くになり、彼は勘定を済ませて店を出て行った。今度は、私の左隣に座っていたお客との会話になった。牛タンの話になり、お勧めの店の名を二つ挙げた。彼はまだ仙台に行ったことがないという。ただ、焼肉屋で出てくる薄くスライスされたものとは違うということは知っていた。「そうです、厚さが違います。それに漬物と南蛮味噌漬けが付いてきて、定食だと麦飯とテールスープが出てきます」などと能書きを垂れているとき、さっき出て行った彼が戻ってきた。
8時半発だと思っていたバスが、8時15分に出たのだと云う。平日と土曜日のバス時刻を間違えたらしい。また、前と同じ椅子に座り飲み直していた。次は9時半発だからと云って。
9時少し前、二人を残して店を出た。また来年も来てねと言われ、来年は電車で来ますと答えておいた。外は少し寒かったが、日本酒とワインで温まった身体にはちょうど良かった。一人で知らない街の飲み屋に入るのもなかなか楽しいものだと思った次第。
翌朝、車のフロントガラスが凍っていた。ずいぶん南の方へ来たつもりでいたが、放射冷却のためかなり冷えたようだ。快晴で風もなく、絶好のマラソン日和。海岸沿いのコースを走行していると、霞がかった相模湾の向こうに富士山の山頂から八合目あたりが見えた。雪で真っ白だったので、写真には写らないなと思い撮影せず。コースを進むにつれて黄色い花が沿道に見えて来た。菜の花である。今が見ごろと咲いていた。一旦止まって、これは撮影した。きつい登りや下りがなく、比較的走りやすいコースで、記録が出やすいのではないかと思った。昨年3月以来のフルだったが、4時間08分でゴール出来た。前半より、後半のハーフの方が10分もタイムが良かった。中間点を過ぎてから、これなら行けそうだなと思いペースを上げた。37km辺りまでは快調だったが、残り5kmというところでペースが落ちた。うーん、ここまでかと思っていると、さっき抜いて来たランナーたちに置いて行かれる始末。それでもラスト1kmでは、最後の力を振り絞ると身体が動いたのでまあ良しとしよう。
駐車場を3時30分頃出たものの、館山道とアクアラインに渋滞が発生していて家に着いたのが午前零時過ぎ。やはり電車で行くべきであった。
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お帰りなさい
走れ健次郎に次ぐ、長編実話ありがとうございます
大会記より、酒場談義が、面白かったです
ゆっくりお休みください!
追伸 わたしは、金曜日から鈴鹿です
ホンダ鈴鹿工場駅伝大会に会社代表で参加します
さっそく完走、否、感想を頂きありがとうございます。居酒屋には2時間もいなかったのですが、中身の濃い滞在となりました。実は他にもいろいろ話題があり、それは次回お会いしたときに。
では、鈴鹿駅伝、快走して来て下さい。
小説家ですね。大会記はもとより福島の風景と館山の飲みある記も楽しく読ませていただきました。福島の章にはジーンとなり館山の章では世界の狭さと人生の複雑さを感じ、大会記は・・・・・
感想を寄せて頂きありがとうございます。初めての街で飲み屋に入って知らない人と酒を飲むというのが、クセになりそうです。遠くの大会に泊りで行くのは楽しいですね。今度、ご一緒にいかがですか。
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